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遺言書に書かれた遺産よりも多くもらえることがあります
民法には、相続人の相続財産に対する相続分の割合が定められています(民法第900条)。この割合は、相続人の順位や組み合わせによって異なります。
例えば、相続人が配偶者(夫または妻)と子の場合、配偶者の相続分は2分の1、子の相続分は2分の1(子が複数人いる場合は、2分の1をさらに人数で割る)です。
そして、民法は、兄弟姉妹以外の相続人について、最低限の相続財産の取得分を定めています。これを「遺留分」といいます(民法第1042条)。この「遺留分」が侵害されている場合には、「遺留分減殺請求」(民法第1031条)をすることができます。
つまり、遺言書に書かれた遺産が最低限の相続財産の取得分を満たしていない場合、不足分を要求することができる可能性があるのです。
ただ、下記①②の場合、遺留分減殺請求権は消滅時効により消滅するため、早めの対応が重要です。
①遺留分権利者が、相続の開始及び減殺すべき贈与または遺贈があったことを知った時から1年間行使しないとき
②相続開始のときから10年を経過したとき
遺留分は、相続人(兄弟姉妹以外)に対して保証された最低限の相続財産の取得分のことです。これは、遺言によっても奪うことはできません。
特定の相続人一人のみに相続させる旨の遺言は、他の相続人の遺留分を侵害しているため、遺留分減殺請求をし、自分の本来の相続分を取り戻すことができます。
遺留分侵害額は、遺留分額-(遺留分権利者が被相続人から相続で取得すべき財産額)-(遺留分権利者の特別受益額+遺留分権利者が受けた遺贈額)+(遺留分権利者が相続分に応じて承継した相続債務の額)で計算します。
計算が複雑でわからない場合には、是非、弁護士にご相談されることをおすすめします。
前述のとおり、遺留分の計算は少し面倒です。また、遺留分算定の基礎となる財産額も、亡くなった方が相続開始時に有していた財産+贈与財産の価格-相続債務の全額という計算をする必要があり、どんな財産が計算の基礎となるのかを判断する必要があります。
弁護士であれば、預貯金の残高証明書の取付をしたり、固定資産税課税評価額などから不動産の価額を計算したりといった面倒な資料収集や計算を任せることができます。
遺言書により相続財産を多く相続できたと考えている特定の相続人に対して、遺留分減殺請求をし、交渉をするのは、特定の相続人の了承を得られず、交渉が難航することも多々あります。弁護士であれば、法律やこれまでの交渉経験に基づいて代わりに交渉をするため、よりスムーズに解決を図ることができます。
亡くなった方の意思は尊重したいけれど、自分だけ相続できなかったり、少なく相続したりなどして腑に落ちないと悩まれている方もいるのではないでしょうか。
ただ、遺留分減殺請求権は時間が経つと特定の条件で消滅するため、早めの対応が重要です。
遺留分減殺請求をしたい方、そもそも自分の遺留分が侵害されているのかがわからず悩まれている方など、まずは、遠慮なくご相談ください。相続問題を得意とする出光綜合法律事務所が、一緒に考え、適切なアドバイスをさせていただきます。