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その遺言は、そもそも有効なのでしょうか

亡くなった方の相続財産に関する意思を表す遺言ですが、亡くなった方の状況(例えば、認知症だった)や遺言内容などを総合的に考慮すると、その有効性に疑念を抱き、納得できない場合もあると思います。
その場合には、遺言の有効性を争うことができます。

よくあるトラブル
1. 遺言書をみつけた直後に裁判所による検認を受けてしまったが、その後、遺言書の有効性が気になりだした

遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければなりません(民法第1004条)。
「検認」とは、相続人に対して遺言の存在及び内容を知らせるとともに、遺言書の形状、加除訂正の状態、日付及び署名など、検認の日現在における遺言書の内容を明確にし、遺言書の偽造・変造を防止するための手続きです。
これは、あくまで遺言書の現状を保全する手続きであり、遺言内容の有効性を確認するものではないので、検認を受けた遺言書も有効性を争うことはできます。

2. 母の遺言がみつかったが、認知症であった母が書いたか疑わしいほど高度な内容だった

遺言の有効性が疑わしい場合には、その遺言が無効であることの確認を求める遺言無効確認調停の申立てや遺言無効確認訴訟の提起をすることができます。
遺言によって相続財産を多く取得する相続人は遺言が有効であると主張し、少なく取得する相続人は有効性を争うのが一般的であるため、交渉や調停で妥協点をみつけ、解決を図るのは困難なことが多いです。
そのため、交渉が決裂すれば、遺言無効確認訴訟からスタートすることがほとんどです。
その中で、カルテや介護記録、医師の意見書、周囲の人々の陳述などを検討し、遺言書の内容を書ける能力があったのかを判断することになります。

弁護士に依頼するメリット
1. 遺言能力を判断するための資料(カルテや介護記録等)の収集を任せられる

遺言が有効であると言えるためには、遺言者が遺言の内容と結果を理解し、自分の意思で遺言を決める能力(遺言能力)が必要です。
遺言作成時に遺言能力があったかを判断するためには、カルテ、介護記録及び医師の意見書などの収集や関係者の聞き取りなどをする必要があります。
遺言者が多くの病院や介護施設などにかかっていた場合には、カルテ等の収集に多くの手間と時間がかかります。
弁護士に依頼すれば、経験を活かし、スムーズに資料収集を行います。

2. 遺言の有効性の判断を、法律の専門家に任せられる

遺言は、
①遺言の方式に不備があるとき
②遺言の内容に不備があるとき
③遺言が新たに作成されたとき
④遺言能力に問題があるとき
⑤遺言を作成したことが、錯誤・詐欺・強迫によるとき
には、無効となります。
それぞれの判断は、収集した資料などを基に、総合的に行う必要があり、相続人だけでは困難な場合が多々あります。
法律の専門家として、多くの法律問題に関わる弁護士に依頼することで、細かな事実を見落とすことなく、遺言の有効性を判断することができます。

遺言の有効性が疑わしい場合はご相談ください。

遺言の有効性を争うことは、被相続人の意思を否定することにもなるため、他の相続人との関係を悪化させるのではないかと不安に思われる方がほとんどでしょう。
相続の知識と経験が豊富な弁護士に相談、依頼することで、他の相続人との直接の交渉を回避しつつ、正当な相続分を確保できる可能性が高まります。
まずは、出光綜合法律事務所へご相談ください。